ドイツ南部に位置する、一番大きな州であるバイエルン(Bayern)。ソーセージの名前や、自動車、サッカーなどなど、様々なもので知られている世界的に有名な場所です。そんなバイエルン州の州都が、アルプスの麓に位置するミュンヘン(München)です。バイエルンのメジャーな有名なもの=ミュンヘンの有名なものと言っても過言ではないと思います。
そしてミュンヘンを語るうえで欠かせないものといえば…
そうです。ビールです。これを抜きにしてミュンヘンは語れません。もちろん上に挙げたように、ミュンヘンには有名なものがたくさんありますが、今回はビールです!
とはいっても、日本にあるビールと一体何が違うのでしょうか?ドイツビールってよく聞くけれど、何が特別なのかな?
こういった疑問をミュンヘンビール(Münchner Bier)と合わせて紹介していきます!この記事を読んで知ることのできる違いや発見を知ったうえで飲むビールはきっとまた格別です。ということで、ビールが好きな方、ドイツが好きな方必見です!それではいきましょう!
ドイツビールって何が特別なの?
よく耳にするドイツビール。一体何が特別なのでしょうか。
・ドイツ人がものすごい量のビールを飲むから。
・ドイツにビールの醸造所がたくさんあるから。
・ただ単に美味しいビールがたくさんあるから。
これら全て当てはまります。
しかし、ドイツビールが特別だということを語るには少し説得力に欠けます。ドイツビールが特別で、これほどまでに世界中で愛されている理由といえばやはり、「ビール純粋令」これがあるからではないでしょうか。
難しいことは省きますが、ビールには「水・ホップ・モルト(大麦)・酵母」だけを原材料とすること。それ以外の添加物はダメ。というルールです。ドイツビールが特別とされ、その美味しさと品質の高さが世界中で評価される理由はここのあると思います。
そしてこのビール純粋令(ドイツ語ではDas Reinheitsgebot)、既に制定から500年以上が経過しています。当時からドイツビール醸造へのこだわりと情熱が一切変化していないことに感動を覚えます。そしてこのビール純粋令誕生の地が、バイエルンの州都、ミュンヘンです。すなわち、ミュンヘンビールは現代のドイツビールの礎を築いたものとも言えます。それではミュンヘンビールを紹介していきます!
有名メーカー勢揃いのミュンヘンビール
ミュンヘンの醸造所を一度に全てを紹介することは不可能なので、今回はミュンヘンの歴史あるメジャーな醸造所6つを紹介します。
ミュンヘン6大ビールメーカー
アウグスティーナー “AUGUSTINER”
シュパーテン “SPATEN”
パウラーナー “PAULANER"
ハッカープショール “HACKER-PSCHORR”
ホフブロイ “HOFBRÄU”
レーベンブロイ “LÖWENBRÄU”
上記に挙げたビールメーカーがいわゆるミュンヘン6大ビールメーカーです。なんだか東京の六大学野球みたいですね。笑 ちなみに、世界最大級のお祭りかつ最大のビールの祭典であるオクトーバーフェストに出店が許可されているのもミュンヘンにある6つの醸造所だけです。
AUGUSTINER(アウグスティーナー)
この中でも最も歴史が長いのが、AUGUSTINER(アウグスティーナー)です。海外へはあまり輸出されておらず、ドイツ国外で見かけることはほぼ無いビールですが、ミュンヘンでは最も愛されているビールの一つです。ボトルにもしっかりとこのことが書かれています。
”Gegründet 1328 – Älteste Brauerei Münchens”(1328年創業。ミュンヘン最古の醸造所)1320年代って、日本はまだ鎌倉幕府ですよ。笑 ビール純粋令が制定される遥か200年も前にすでにビール造っていたのだから驚きです。
SPATEN(シュパーテン)
SPATEN(シュパーテン)の歴史も長いですが、このメーカーが有名になったのはなんといってもこれ。ミュンヘンで初めてヘレス(Helles)タイプのビールの製造を始めたビールメーカー。そんなSPATEN、現在もヘレスのみを醸造、販売しています。日本へも輸出されていて、たまに見かけることがあります。
PAULANER(パウラーナー)
ミュンヘンビールの中では知名度はかなり高いのではないでしょうか?地元ミュンヘンではPAULANER(パウラーナー)のヘレス(Helles)タイプのビールが愛されていますが、ドイツの他地域や海外ではヴァイスビア(Weißbier=白ビール)のほうがより有名だと思います。
日本でもここ最近販売されているのをよく見かけます。日本のオクトーバーフェストやドイツ関連のイベントでは必ず見かけるミュンヘンビールの一つです。白ビールやヘレス、さらにはレモネード割のRadler(ラドラー)などのミックスビールも手掛けています。
HACKER-PSCHORR(ハッカープショール)
日本ではあまり聞き慣れないメーカーかもしれませんが、HACKER-PSCHORR(ハッカープショール)もれっきとした6大ミュンヘンビールの一つです。醸造所のスローガンは、”Himmel der Bayern”(バイエルンの空)。ミュンヘンビールでは珍しいフリップトップボトルを採用していて、栓抜き不要です。外出時など気軽に飲める点、便利です。
HOFBRÄU(ホフブロイ)
ミュンヘンの市内観光でまず名前が挙がるであろうHofbräuhaus(ホフブロイハウス)を有するビールメーカー、HOFBRÄU(ホフブロイ)。バイエルン公が自らの醸造所を建設したのが始まりで、現在もバイエルン州が自ら運営する州立の醸造所です。PAULANERのように白ビールやヘレスなど、南ドイツでよく飲まれるビールはほぼ全種類生産していて、よく目にするビールメーカーの一つです。
LÖWENBRÄU(レーベンブロイ)
ライオンマークがトレードマークのLÖWENBRÄU(レーベンブロイ)。日本ではかなり有名だと思います。というのも、缶ビールが日本でも販売されていますね。かなりの頻度で見かけるビールです。日本を含む海外でドイツビールといえばLÖWENBRÄU!とよく聞くほど世界的に有名なメーカーです。
ミュンヘンビールの特徴
ドイツビールといえども、一概にこれがドイツビールと決めることができません。ドイツには多くの種類のビールが造られているからです。
ドイツでよく飲まれているビールは大きく分けて主に3種類があります。
・Pilsner(ピルスナー)
・Helles(ヘレス)
・Weißbier / Weizen(白ビール)
もちろんこれ以外にも多くの種類のビールがドイツでは愛されていますが、概ねこの3種類に大別できるでしょう。
北ドイツ、日本を含む世界中で最も好まれているビールの種類はPilsner(ピルスナー)ですが、バイエルン地方で主に愛飲されているビールは、Helles(ヘレス)となります。ピルスナーもヘレスも同じ下面発酵によって醸造されるラガービールです。ピルスナーの特徴はホップの爽やかな苦味を活かした造りであるところで、対するヘレスはホップの香りを抑え、モルト(大麦)の甘みや重厚感を活かした造りになっています。
ヘレスの意味は、ドイツ語のhell(=明るい)という意味です。英語だとなんだか恐ろしい感じのビールになりそうですが、ドイツ語なので問題ありません。そして名前の通り、ピルスナーなどと比較すると薄めの黄金色が特徴です。
上記で紹介した6大ビールメーカーの中には、PAULANERのように白ビールのほうが世界的に有名なメーカーもありますが、地元ミュンヘンでは圧倒的にヘレスが支持されています。
日本で醸造されているメジャーなビールはほぼ全てがピルスナータイプのため、ヘレスを飲むとそのクセや苦味のないまろやかな味わいに気づくと思います。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
ドイツビールといっても一括りにはできないところがドイツビールの奥深さでもあります。例えばPAULANER(パウラーナー)がドイツではおすすめ!といっても、そこにはヘレスと白ビールの違いがありますし、ピルスナーとヘレスでは全くキャラクターの違うビールとなっています。日本で飲んで好きになったPAULANERが違う味だった…という話を聞いたことがありますが、きっとこれは日本で白ビールを飲んだのにドイツではヘレスを飲んでいたのかもしれません。
これがドイツビールを簡単には語れない面白さです。どのビールが好きなのかを知るためには、実際に飲み比べてみるしかありません。好みは十人十色ですし、ビールの味わいもまた同じです。そして醸造されている地域が変われば味はもちろんのこと、ビールの種類も変わってきます。幸いにもミュンヘンビールは日本でもいくつか入手することが可能なので、是非一度ピルスナーとヘレスを飲み比べてみることをおすすめします。そのときはぜひ今回紹介したビールの種類(ピルスナーやヘレスなど)をチェックしてから選んでみると面白いと思います。そしてもし機会があれば、本場ドイツでいろいろな種類のビールを飲み比べてみてください。ビールに関する新しい発見と感動が見つけられるはずです!
ちなみに、マキシーさんのブログ記事やオンラインドイツ語コースでは、ドイツでのビール巡りにも使える便利なドイツ語講座が紹介&提供されています。ビールネタ以外にもドイツが好きな人、興味がある人、同じ趣味を持っている人の情報交換ができる場となっているので、参加もしくは覗いてみることをおすすめします!ドイツ語ができなくても大丈夫です。
オンラインの飲み会等のイベントもありますので、興味のある方はぜひ!お酒を飲みながら気楽に外国語を話してみることほど語学学習が捗ることは他にはありません!(経験者は語る。)
それではありがとうございました!