ドイツ語試験 『telc』について
■語学力能力を証明するための検定試験
英語をはじめ、語学習得のために学習をしている方は、自分の学習の成果を測るとともに、自分の能力を証明するために様々な語学の検定試験を受験することも多いでしょう。英語であればTOEICやTOEFL、IELTSなど、様々あります。それぞれの検定でも特徴があり、留学の場面ではTOEFLやIELTSが英語力のモノサシとして活用されることがメインです。日本では、就職活動や学校の教育の中でTOEICが活用されることが多く、受験された方もおおくいらっしゃることでしょう。
■ヨーロッパにおける検定試験
1)TELC試験
各国においても語学力を測り、能力を証明するための検定試験は数多く存在します。その一つにTELCというものがあります。TELCは「ヨーロッパ外国語能力証明書=The European Language Certificatesの略称でドイツのドイツ市民大学連盟の下部組織のtelc GmbH
が運営が運営をしています。受験可能の言語として、英語·ドイツ語·トルコ語·スペイン語·フランス語·イタリア語·ポルトガル語·アラビア語など10言語に対応する国際標準試験です。TELCは、ドイツ国内では、多くの公的機関等と提携し、語学検定試験の実施機関として中心的な存在で、様々な語学学校において、卒業·修了試験として採用されています。(近年telc Deutsch C1 Hochschuleは、ドイツの大学入学の際のドイツ語証明として、ドイツの大学が採用をしています。)
A1からC2のドイツ語能力レベルは、共通のヨーロッパ言語共通参照枠組みに準拠しているものとなっています。telcはドイツ国内の各地にある多くの語学学校等で検定試験が実施·開催されており、大都市以外に住んでいる人も気軽に受験できることができるメリットがあります。
■TELC試験のレベル一覧
評価レベルはA1レベルから始まり、C2までの6段階に分かれています。留学や、就業、求められるレベルは様々なので、ご自身が必要なレベルに達するための目標に合わせて学習を進める必要があります。受験し、自身の現在の能力を把握し、次のレベルに目指すための学習計画をたて日々、実践することが上達への近道と言えるでしょう!
具体的なレベル一覧
初級(基礎段階の言語使用)
TELC A1:
日常生活ににおいて、様々な場面で簡単な短いドイツ語表現が理解することができ、自分でも話したりすることができる。自己紹介等の相手に対しての短く簡単な質問、それに対しての受け答えや食事やショッピングや旅行などの場面において、相手がゆっくり、はっきり話してくれる場合に、コミュニケーションができるレベル
TELC A2:
毎日の生活でよく使われる言葉や表現などに慣れ、自分の仕事や家族、プライベートな話題などに関して、また日常的での具体的な生活習慣などについて、ドイツ語でコミュニケーションが図れ、また日常的な事柄が、簡単な文章の形で表現できるレベル。
TELC B1:
明瞭なドイツ語であれば、仕事や趣味、自分の生活についての日常的な事柄・出来事についてのドイツ語の発言·会話や文章等を理解することができるレベル。旅行中に起こる様々な出来事に対して問題なく、十分な対応ができ、自分の経験や夢·希望·目標などの思い、考えに関して語ることができる。加えて、自分にとって身近なテーマであれば意見を述べ、議論の内容や論拠などを説明することができるレベル。
中級(自立した言語使用)
TELC B2:
抽象的で複雑なドイツ語表現であっても、その趣旨や内容などが理解できるレベル。自分の仕事や専門分野に関しての議論が理解できるにとどまらず、自分の立場や意見を述べ、意見に対するメリットやデメリットなどを論述、表現することができる。日常的なテーマでは、広い範囲にわたって明確に他者との間で意見と情報の交換が活発にでき、ドイツ語を母国語とする人との間で、相互に困難を感じることなく、自然な会話が成立しうるレベル。
上級(成熟した言語使用)
TELC C1:
会話や論文などのほとんどのテーマにおいて、高度なドイツ語表現や長い文章が理解することが可能で、その文脈においての言葉のニュアンスなど、背景にあるものも含め汲み取ることができ得るレベル。ドイツ人社会で就職、就業することや、大学において、学問を学んだりするのに必要十分な語彙と多くの表現を自由に使いこなすことが可能で、複雑で微妙な内容などをを正確なドイツ語で十分に表現することができるレベル。
TELC C2:
通常の社会生活を送る上で、不自由することなく全ての場面において、対応できるドイツ語力レベル。ビジネス、教育、各種活動など数多くのさまざまな分野の多様なテーマに関して、読む、書く、話す、聞くことが不自由ななく取り組むことが可能で、微妙な表現なども含めた細かいニュアンスも含んだ、豊かで富んだ自然なドイツ語を正確に取り扱うことができるレベル。
■TELC試験の対策方法
以下、ドイツ語検定において上達するための効果的な勉強法について紹介します!(B1レベル→B2レベルに上達するための効果的な学習方法に関して)
ドイツ語を読むためのおすすめの学習·勉強法
やはり語学を習得する上、重要なポイントは語彙力を上げることです。語彙力アップのための効果的な学習法について紹介します。
A:辞書を使わずざっくり読む
とりあえず、はじめのうちの2~3回は辞書を使わず読んでみましょう!声に出しながら読むとより効果的です。分からない単語や表現は後で確認できるようマーカーなどでしっかりチェックしておきましょう。1回目で分からなくても、2.3回読んでみるとだんだん分かることも出てきます。
B:辞書を使ってしっかり理解する
要約ができるようになったら、その後スクリプトを見ます。口に出しながらゆっくり読み進め、要約と違うところはないか、自分が理解できていなかったところはどこかなど確認します。単語や表現は都度調べ、内容をしっかり理解しましょう。
C:もう1度辞書を使わず音読する
最後に、文章の内容を思い出しながらもう1度丁寧に音読しましょう。音読のコツはぼそぼそではなくはっきりと口を動かすこと!1回と言わず何度もするとそれだけ実力が付きます!
1)読む(読解力·語彙数アップのために)
Deutsch perfekt
読む力を鍛えるためにはドイツ語の雑誌の活用がおすすめです。ドイツ語学習におすすめ雑誌として「Deutsch perfekt」という雑誌があります。こちらは、ストレートにドイツ語学習者向けに作られている雑誌です。
この雑誌の利点としては記事別に初級·中級·上級とマークがついており、自分のレベルに対応した記事を読むことができます。それぞれの記事の中には、難しい単語やキーワードとなる言葉に下線が引かれており、その注釈が独独辞典のようについています。日本語を用いてドイツ語の意味を理解するのも大切ですが、独和辞典を見ても単語の意味が曖昧だったり、類義語との区別がつかないこともあり、ドイツ語をドイツ語で読むこと、理解することが学習を進める近道となり得ます。
初めは読むスピードも遅く理解するにも時間がかかってしまうことでしょうが、毎日少しづつ1日1記事など無理をしない程度に習慣にすることで、ドイツ語を読むことに抵抗が少なくなることでしょう。
扱われているテーマも幅広く、季節に合ったものやドイツの国内外の文化にも触れられている内容のため楽しく読める内容になっています。
元々雑誌や本を読むのが好きな方はもちろん、読書の習慣がない方でも短い記事から長めの記事まで掲載されている雑誌です。
2)単語勉強法
B2になると扱われるテーマが難しくなる分、量が膨大にそして専門的な単語が多くなります。学習法としては、単語を動詞·名詞·形容詞または副詞と大まかにに書き分け、書き留めた用紙を空き時間に目を通してインプットすることが大切です。
参考書やテキストで出題される全てのテーマや雑誌の読んだ記事など、単語数は膨大な量になりますが、都度ピックアップし記録を続けることで、習得する単語数もドンドン増えていきます。教科書は1度学習するだけでなく1,2か月時間を空けて何度かおさらいし、その際もまだ覚えきれていない単語を再び書き出し、似たテーマ同士として共通した単語が出てくることも多く、関連して単語を認識することで、習得数をドンドン増やすことが可能になります。
3)聞く(音声メディア)
音声学習として、ラジオやYouTubeなどの活用もおすすめです。1日1テーマと決めて、毎日少しでも聴き込むことがおすすめ。興味、関心のある内容を媒体問わず、時間を決めて集中的に耳を傾けることがポイント。
思います。
YouTubeなど、ドイツ人のコンテンツなどの視聴は、扱われるトピックも興味深いものが多く、不特定多数のネイティブの生きたドイツ語に触れることができるのが魅力。オールドイツ語なのでドイツ語初級者には難しいと思いますが、ドイツ語·英語両方の字幕付きなので文字を目で追うことも可能です。
4)書く(日記)
ドイツ語で日記をつけるのもおすすめです。ドイツ語を書く機会を強制的に作り、習慣とすることが可能です。ドイツ語で毎日6~7行程度の短文日記をつけることで、自分だけのアウトプットの場として日記の活用はおすすめです。日記は自分の手を動かすので、単語の綴りを覚えることや日常の出来事をドイツ語に言い換える良い機会です。
5)話す(タンデム)
話す力を伸ばしたいのであれば話す機会を多く作ること、アウトプットすることが1番の近道です。現在はアプリなども普及していますし、ドイツ語ネイティブの日本語学習者の方を見つけるハードルは高くないでしょう。もし身近にドイツ語話者が居ない場合でもSkypeやLINEの電話機能を使って話すだけでも良い機会になると思います。Zoomなどのビデオ会議システムの活用や、オンライン会話のサービスなども数多くあるので、自分で話す機会を積極的に得ることが大切です。
ドイツ語の会話をする上でのポイント
1)会話する時間を設定する(週に〇回、月に○回というように習慣にする)
会話相手とのルールとして、30分ドイツ語で会話、その後30分日本語で会話をする、といったように時間を区切りその言語だけで話すことなどを設定。
2)話すテーマを設定する
教科書に出てきたテーマやテレビやラジオで報道されていることなどについて一緒に読みながら簡単な意見交換をしています。日常会話よりも1歩2歩進んだ話ができるように気になるテーマを持ち寄って有意義な時間を作れるようにしています。
B2レベルになると日常会話だけでなく、メディアで見かけるような具体的なテーマの内容を把握することや、自分の考えを言えるような力が必要となります。そんな内容を練習し実践する機会としてもタ話すということタンデムはとても有効な手段となります。
語学力を伸ばすために最も大切なのは継続し、習慣とすること!!
■その他のドイツ語検定試験
2)Goethe Institut, Goethe Zertifikat
ゲーテ·インスティテュートによる、初級者から上級者までのレベル別検定試験です。ヨーロッパ言語共通参照枠の最高レベルC2に相当する従来の3つの検定試験「ドイツ語上級統一試験(ZOP)」「ドイツ語小ディプロム試験(KDS)」「ドイツ語大ディプロム(GDS)」は、2012年より「ドイツ語C2大ディプロム(GDS)」に統一されました。
3)TestDaF(Test Deutsch als Fremdsprache)
ドイツ語版のTOEFLと位置付けられるドイツ語統一試験です。中級以上が試験対象で、「聴解力」「読解力」「文章表現力」「口述表現力」の4つの技能について、それぞれ3つのレベル(TDN3~5)があります。4項目すべてについてレベル4(TDN4)以上を獲得すれば、大学入学に必要なドイツ語能力を証明したことになります。世界中で同一日程にて開催されますが、日本国内では、獨協大学と東京ドイツ文化センターで実施されています。
4)DSH(Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)
ドイツの各大学が実施する、入学に必要なドイツ語能力を証明するための検定試験。合格すれば、ドイツ語で聴講し、ディスカッションし、レポートを書き、単位取得試験を受けるなど、学生生活がドイツ語で不自由なく送れるとみなされます。
5)PWD(Prüfung Wirtschaftsdeutsch International)
国際ビジネスドイツ語検定と呼ばれる試験で、ヨーロッパ言語共通参照枠の評価基準C1レベルに相当します。主に商工会議所などが奨励していることが多い試験です。18歳以上であれば、どなたでも受験ができます。
6)独検(ドイツ語技能検定試験)
財団法人ドイツ語文学振興会が実施する、日本語話者に特化したドイツ語検定試験。5級~準1級、1級の6つのレベルがあり、筆記試験に加え、準1級以上では口述試験も行われます。