やたらと長いドイツ語の単語~ドイツ語の造語力について!
■ドイツ語の長―い単語
ドイツ語にはやたらと1単語の文字数が多くとても長いものが多くあります。
いくつか例を挙げていきたいと思います。
例1:
Freundschaftsbeziehungen
(フロインドシャフトべツィーウンゲン)
意味:友情関係・友情の表明・友情のしるし
『トム・ソーヤの冒険』などで有名なアメリカの作家マーク・トウェインもエッセイでドイツ語の単語の長さについて記しています。トウェイン曰く、『こんな長い単語は遠近感を感じられて、アルファベットが行進する音楽が聞こえる』と語っています。(発音はかっこいい!)(トウェインのA Tramp Abroad(邦訳「ヨーロッパ放浪記」)という旅行記の補遺にある The Awful German Language(邦訳「ひどいドイツ語」)という文章に、ドイツ語を学ぶことのむずかしさが表現されています。))
例2:
ドイツ語で一番長い単語と言われているもの・・・
(ドイツの単語は長いという話題の時によく紹介される一例です)
こちらです。↓
Donaudampfschiffahrtselektrizitätenhauptbetriebswerkbauunterbeamtengesellschaft
79文字のドイツ語からなるこの単語はドイツ語の出版物に掲載された単語として、最長の単語として、1996年のギネスブックに紹介されました!)
意味は・・ドナウ汽船電気事業本工場工事部門下級官吏組合)
(おそらく、日常会話では絶対使わない単語ですが・・・)
続いて、、
例3:
こちらは日常会話で使いそうな単語
Die Streichholzschachtel
(シュトライヒホルツシャッハテル)
意味は日本語ではマッチ箱!
『マッチ箱1つください』はドイツ語ではこれ↓
Bitte gib mir eine Streichholzschachtel.
例4:
Kraftfahrzeug-Haftpflichtversicherung
(クラフトファーツォイグハフトフリフトフェアズィッシャールング)
日本語では、自動車損害賠償責任保険。略して自賠責!(3文字!)
↑長いドイツ語ってどれもカッコ良いので、どれもTシャツなどにプリントしてても様になるような気がします。
Kraftfahrzeug-Haftpflichtversicherung
Bitte gib mir eine Streichholzschachtel.
Donaudampfschiffahrtselektrizitätenhauptbetriebswerkbauunterbeamtengesellschaft
これが並んでいるだけでもカッコ良い・・。
■ドイツ語はなぜこんなに長いのか
いくつか例を挙げて紹介してきましたが。どうしてドイツ語の単語は長くなるのでしょうか??それは、ドイツ語特有の『造語力』に由来します。2つ以上の単語を組み合わせて1つの単語を形作るという特徴をドイツ語は持っています。造語力によって完成された名詞を複合名詞と呼びます。日本語で漢字を並べて長い固有名詞ができあるのと同じ異イメージです。
例えば、、先ほど例に挙げた『マッチ箱』を意味する
Streichholzschachtel.
だと、、
この単語には3つの要素から成り立っています。
Der Streich ・・・攻撃、打撃
Das Holz・・・木材
Die Schachtel・・箱 ボックス
上記の3つの要素から、マッチ箱という意味になっています。
一番長―いこちらは、
Donaudampfschiffahrtselektrizitätenhauptbetriebswerkbauunterbeamtengesellschaft
の、
Donaudampfschiffahrt
の部分だけでも、
→donau(ドナウ)、dampf(蒸気)、schiff(船)、fahrt(輸送)から成り立っています。
Donau(ドナウ)
ドナウ川は、ヴォルガ川に次いでヨーロッパで2番目に長い大河です。
ドイツ南部バーデン=ヴュルテンベルク州の森林地帯「シュヴァルツヴァルト(黒い森)」に端を発し、概ね東から南東方向に流れ、東欧各国を含む10ヶ国を通って黒海に注ぐ重要な国際河川です。河口にはドナウ・デルタが広がリます。全長は2,850 kmです。
der Dampf(蒸気)
das Schiff(船)
die Fahrt(輸送)
■ドイツ語を学ぶにあたって
この複合名詞はドイツ語を学ぶにあたってとても重要な要素となります。日常のあちらこちらに溢れています。ドイツ語を学ぶにあたっては複雑な文法や規則など、なかなか学ぶのが大変だという方も多いかと思います。
この複合語もその一つ。ドイツ語の造語力によって、辞書に載っていない単語もたくさん存在します。初学者が学ぶ教科書に記載がある単語でも辞書に載っていないこともざらに存在するとのこと!(教科書に載っている文字が辞書にないなんて、普通考えられないですが、、そういうものだという感覚も最初に学要素かもしれないですね・・・・。)
ただ、この複合名詞も単語を分解して意味をとらえる癖をつけると、初めて出会った単語の意味も類推することができ、部分に分けて、それぞれの箇所の意味を確認することで全体の意味の理解は可能です。(ドイツ語学習の重要な訓練の一つですね!!)
クラウン独和辞典第4版で一番長い見出し語は、
以下の単語です。
Die Geschwindigkeitsüberschreitung
(ゲシュヴィンディッヒカイツユーバーシュライトゥング)
日本語:スピード違反
日本語にすると短いフレーズですが、これも分解してみると2つの要素からなる単語・・・。
Die Geschwindigkeit・・・スピード・速度
Die Überschreitung・・・オーバーラン ・踏切
上記の二つの意味からスピードが超過している状況→スピード違反という単語の意味となります。
日本語などは漢字が意味を持つ言語になるので、このような複合語という概念はあまり馴染みがないかもしれませんが、初見の漢字なども大体の意味を捉えることができるという意味では感覚は同じかもしれません。
英語も初めてみる単語も同じように要素分解して意味を捉えることができますよね。
ドイツ語はよりその要素が強く、言葉を分解することで、意味を捉える作業が学習の醍醐味となります。この感覚をしっかり掴めるとドイツ語の学習もとても楽しくなりそうです!
ちなみに、日本語で一番長い単語はこちら
『竜宮の乙姫の元結いの切りはずし』
(リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ) 海草の一種、アマモの別名とのこと!単語がいくつか並んでいるので、どんな海草かっていうのはイメージできますよね??